麻痺の手が動く気がする阿波踊り


ここに額装された作品の拡大画像があります。
前景にダイナミックに足を交差させた男踊り、後方にはしなやかにやさしく踊る女踊りが続き、絵の中から飛び出てきそうな勢いです。

2004年  F10 (530mm x 455mm)

 徳島と言えば阿波踊りである。しかも生家の前には演舞場があり、お盆の4日間は「よしこの」のリズムが鳴りやまなかった。
 店先ではジュースを売っていた。接客は主に兄達が行なう。ボクは商品ごとの売上本数をカウントしたり、次に補充すべきのもを指示したり・・・、兄達が忙しくしている時には接客もした。
 客にとっては、ボクの手が不自由であろうとなかろうと、知ったことではない。「早く飲みたい」その一心で手を伸ばしてくるのだ。だからボクも震える手を必死に伸ばして代金を受け取ろうとする。すると、いつもならなかなか掴めないコインがさっと掴めたりするから不思議だ。時には「早ようせーだー」と怒られたこともあったが、それさえボクは嬉しかった。「こんなボクでも人の役に立つことが出来る」そう思うだけで、ものすごく嬉しかった。

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